荻窪「かみや」 古巣に返ってきたら必ず立ち寄る故郷の味


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誰もが一軒や二軒、思い入れのある酒場はあるのではないでしょうか。好きなお店、というレベルではなく、そこにあるのがあたりまえで、そこにきたら立ち寄るのもまたあたりまえなお店。

両親が愛用し、私も愛用し、我が家の想い出がつまった名酒場「かみや」は、私の人生において大切な一軒です。父親とさしで飲むならばここに決まっています。昭和30年創業の歴史ある酒場で、いまは3代目が暖簾を引き継いでいます。ここに通う常連さんたちも世代交代をしながら、脈々と荻窪の酒場文化のひとつとして続いています。

長く続く酒場の強みといえば、そんな常連さんとの阿吽の呼吸ができる関係と、そして仕入れ力だと思います。馴染みの築地の魚屋が用意した質がよくて安い魚をつかった料理を、毎日でも飲みにこれるお財布に優しい値段で提供しています。

 

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地元に密着。荻窪に長く暮らすお酒好きならば「かみや」は、そこにあって当然の酒場で、悩むことなく「かみや」で飲もうという人も多い。年配のお客さんが多かったですが、最近はそのお客さんの子供も成人になり、親子で飲んでいる風景をみかけることも。

奇をてらった飲食店や、今風のマーケティングに力を注ぐお店もいいけれど、街の文化の一つとして、ある意味インフラ的な存在までたどり着いている酒場ほどほっとするお店はありません。

 

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馴染みの酒場でいつものビール。かみやは昔からキリンひとすじ。クラシックラガー(昔はラガー)を変わることなく置き続けています。生ビールは一番搾りですが、常連さんはだいたいびんビールでスタートしてから、日本酒燗酒という流れ。

 

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かみやの店名の通り、電気ブランがひとつのジャンルとして大きめに書かれた品書き。日本酒は富貴が定番酒。昔ながらの大きな中ジョッキで提供される一番搾りは、夏場は最高です。電気ブランのチェイサーとして飲んでいます。

 

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料理は居酒屋の定番がずらり。寒い季節は鍋がおすすめ。あんこう鍋も寄せ鍋も1000円程度、雑誌で紹介される有名店のそれを並んでまで食べに行かなくても、身近な場所にも美味しいものはたくさんあります。

刺身の鮮度が抜群で切り方も美しく大変おすすめなのですが、常連の間ではぬた盛り合わせが人気。サイコロ状のまぐろぶつやイカ、たこ、鯛などがたっぷりはいった食べごたえとお酒の摘みに最適な一品。はじめての方は刺盛りもよいですが、ぜひぬたも試してみて欲しいです。

 

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季節によって意外なものが入ることも。生牡蠣が一個250円。大ぶりというほどではありませんが、味のつまった濃厚な牡蠣をつまみに飲み進めましょう。こうなると日本酒がいいね、富貴を熱燗で。

 

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幼いころから好きだった料理は大人になっても好みはかわらないですよね。ナポリタンをおつまみに飲むのが好きな大人が多いわけですし。ここで昔から好きで好きで仕方がないメニューがこれ、普通の見た目なのだけれど毎回感度させられる「オムレツ」です。

食べ物や飲み物など、口に含むものって想い出とリンクしやすいと思いませんか?あのときに飲んだ思い出の味が忘れられないとか、初恋の味とか。ここのオムレツには私の想い出がつまっています。

カニ玉オムレツと納豆オムレツがあり、ハレの日か、悲しい日かで使い分けています(笑)

 

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酎ハイはワリッカベースのもの。とにかく度数が高く、これに慣れ親しんできた私はとても街場の普通の濃さでは酔えなくなりました。そうか、私のアルコール度数至上主義は「かみや」が原点なのか。

 

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オムレツに日本酒なんてと思うでしょ。これが意外といけるんですよ。とんかつと日本酒、ケチャップ味の日本酒、油系の料理と辛口普通酒の日本酒は実はベストパートナーだと思っています。

皆さんの古巣の味はどんな料理がありますか?飲食店の好みはきっとどんな人生をおくってきたかで変わると思います。私にとって、故郷の味のひとつにここかみやがあります。派手じゃない、特別じゃない、どこの街にもありそうで、でも今は少なくなってきた個人経営の愛され酒場。もしかしたら、私の探し求めてきた酒場は、案外ここだったのかもしれません。

ごちそうさま。

 

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(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

かみや
03-3393-2963
東京都杉並区荻窪5-26-8
17:00~23:00(日定休)
予算2,000円



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