子安「市民酒蔵諸星」 名門酒場は空間そのものが酒の肴です


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皆さまは市民酒場という存在をご存知でしょうか。戦時下の物資不足の時代、お酒も配給制でした。でもそれだけでは物足りないひとはいるもので、闇酒が影で流通するようになりました。それを防ごうと県が主導で酒場を再編・管理を目的に作られたのが市民酒場の始まり。戦後しばらくするとその制度はなくなるも、街に根付き愛され続けてきた市民酒場は、70年のときを経て、いまも横浜の街の飲兵衛の心を満たしています。

そんな市民酒場の一軒を今回ご紹介いたします。子安の「諸星」です。

JR京浜東北線の新子安からも徒歩すぐの場所。京急子安駅が最寄り駅です。高速で通過していく京急電鉄の快特が行き交う踏切をわたってすぐの場所、大きな白い暖簾は酒場好きの心を鷲掴みにします。

なんて素晴らしい外観なのでしょう。いかがですか?もう潜りたくてしかたなくなるでしょう。

 

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奥に長い店内、京都の京極スタンドにも煮た縦長7mの向かい合わせのカウンター席がここの名物スペース。一人できた場合は向かい合わせで座ることになるので最初は落ち着かないかもしれませんが、お酒2杯ほど飲んだあたりからは逆に居心地がよくなり、店を出るときにはお向いさんと友達になっていることもあります。

子安はすぐとなりが東京湾という地形。線路と海の間には京浜工業地帯が広がっていて、ここ諸星の利用者の多くはこの地域で働く会社員の皆さんです。日産自動車や昭和電工など大手の事業所が多く、私たち飲兵衛にとって必要不可欠な存在、大手ビールメーカーのキリンビール株式会社横浜工場も子安駅から徒歩圏にあります。

そういう場所柄ですし、ここは敬意を表して横浜のビール、キリンラガーにて最初の乾杯を。

 

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湯豆腐をおつまみに瓶ビールを傾ける。カウンターに溶け込み、店に溶け込み、風景の一部になれたような気持ちいい時間がはじまります。長く続く酒場のいっときの風景に自分がなれたことの満足感がここにはあります。

 

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小肌、おからを頼み、ビールをもう一本。ゆるやかに、しっぽりとのんびりと。あぁ、素晴らしき市民酒場。派手じゃないけれど、幸せになれるおつまみの数々。たまりませんね。

 

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しばらくキリンラガーを飲み進めたら、少し味を変えてみたくなりました。ここ諸星はサッポロの赤星も置いています。日本のロングセラービールの2銘柄が並ぶのは実は珍しい。では赤星で乾杯。苦味を味わうキリン、旨味を味わうサッポロ、どちらも甲乙つけがたい美味しさ。

 

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おつまみはお刺身から揚げ物まで幅広く置いているのですが、ここに来たらやはり派手ではないものを食べてみて欲しい。確かに揚げ物はお腹にたまるし、お刺身も贅沢感があっていいかもしれませんが、それはどこでもあるというもの。昔ながらの酒場の料理はそんなに派手じゃなかったのだから、市民酒場というものを味わうのであれば地味な料理のほうが、よりこの場にいる嬉しさを味わえるのではないかと思います。

 

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日本酒は種類が多く高清水など各地の地酒がありますが、普通酒を飲むことをおすすめしたい。コップでトンとでてくる350円のお酒。ここでしか飲めない東鏡という銘柄です。とがりのない丸い味で何杯でも飲める美味しさ。

 

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日本酒のお燗を片手におからをつまむ。どうですか、味わってみたいでしょう。

 

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さて、この手の名門酒場はお酒の種類はたいていビールと日本酒、焼酎だけというところが多いですが、諸星は酎ハイ系も豊富。ホッピーが愛飲されているは横浜らしい光景です。京急沿線はホッピー文化が早いうちから根付いているのですが、それについては長くなるので別の機会に。

諸星の甲類はみんな大好きキンミヤ焼酎です。梅割りを置いているので、きゅっと飲みたい方はこちらをどうぞ。梅シロップは宮崎本店の純正品。

 

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しゅうまいにたっぷりと練りがらしをつけて食べれば、キンミヤが進むこと間違いなし。一品一品の派手さはなくとも通い続けたくなる味付けなのが老舗の技。

 

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いかがでしたでしょうか。子安の市民酒場諸星。昭和初期、創業時は角打ちだったということで、いまも壁にはお酒がずらりと並んでいます。それを組み合わせたここオリジナルの酎ハイ類も魅力的。

繁盛している老舗にしかない、「熱量」のある空間を味わいに、京急線で会社帰りに小さな旅にでてみてはいかがですか?

平日しかやっていませんが、タイミングを見つけてぜひ飲みに行かれることをおすすめします。

ごちそうさま。

 

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(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

市民酒蔵諸星
045-441-0840
神奈川県横浜市神奈川区子安通3-289
17:00~23:00(土日祝定休)
予算2,600円



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